2011年7月26日火曜日

常に10年先を…商品も人材も

毎日新聞 1981年(昭和56年)12月21日(月曜日)


常に10年先を…商品も人材も

 行く年、昭和56年、一年の総決算の年の暮れである。本年の目標が達成されたのか、の反省から始まって、新年の方針策定と気ぜわしい毎日である。
2009年 の 年末
中ノ島のイルミネーションにて
 社内報の新年号の「今年の十大ニュース」の編集やら、また毎年幹部だけで決めていた経営方針の参考にと、今「あなたの年次モットー」を全社員に提出してもらっている。大いに意見を吸い上げ、具体的行動理念を打ち出したいものである。


 部分品と機械、個人と全体(個人の権利と公共の福祉)、事業所と全社、個別と総覧、ミクロとマクロ(微視と巨視)「木を見て森を見ず、森を見て木を見ず」「馬を走らせて桜を見よ、馬を降りて桜を見よ」の言葉の通り、常に部分の積み重ねと全体把握の重要性を感じた。


 時間と部門の集約が年計であり、全社方針の分析と分担が個別の目標値となってくる。世界経済と日本、業界とわが社の位置づけ、まさに不透明な未来である。この時こそ「十年後のわが社の展望」を予見してみる必要がある。


「十年後の商品」はどうすればよいか。新製品開発は市場関連と技術関連のマトリックスの中で生み出されるわけだが、わが社では不確定な商品計画は仮にX商品、Y商品、Z商品と名づけ「新製品とはマイナーチェンジの繰り返しである」と考えて、開発に果敢に挑戦している。


「十年後の人材」を考えてみると「特長なき企業はつぶれ、特長なき部門は解体され、特長なき人間はいらなくなる」と言われるように、特長ある人材の育成に注力したい。真に問題解決力のある人、リーダーシップのある人が望まれる。


 今こそ十年先を見通し「着眼大局、着手小局」の経営戦略の必要な時ではなかろうか。
(慎三)

2011年7月11日月曜日

心の若さ…青春よ、永遠に

毎日新聞 1981年(昭和56年)11月30日(月曜日)

心の若さ…青春よ、永遠に

師走。一年の総決算。先生もビジネスマンも東奔西走である。最近、名門K高校でさえアルバイト問題を起こした。三ト主義(アルバイト、プレゼント、リベート)と言われるように、先生の倫理観、聖職意識、生徒との連帯などモラルの低下を感じる。

青春の跛(は)行性として、未熟、不安定、高慢、単純、向こう見ず、直裁?、情熱、感受性、打算、裏切り、不正への怒り、挫折などがあげられる。しかし、ここに共話、共感による心の通い、心の若さがあれば、問題の発生は防げたのではあるまいか。

JEC(ジュニア・エグゼクティブ・コミッティー=大阪府経営合理化協会青年経営研究会)が創設されて、この十二月で二十年になる。ジュニア(青年、二世)の言葉にひかれて一三八名のメンバーが集まっている。「グローバルな独創性と、変化に対応する知性を高め 思いやりの心をもって 行動しよう」を記念スローガンとして、二十代から五十代の幅広い年齢層の経営者の切磋琢磨(せっさたくま)による研究会である。青年と熟年、その相互啓発が心気を躍らせるのである。

松下幸之助氏の座右の銘に

青春とは心の若さである
信念と希望にあふれ
勇気にみちて日に新たな
活動をつづけるかぎり
青春は永遠にその人のものである

という一節がある。生活年齢、肉体年齢に無関係に、気の持ちようで心の若さを保ち続けたいという願望と、常に若くあらねばならぬという自戒の言葉と受けとめることができる。

常に積極的な前進姿勢のもと緊張感が若さを保ち、バイタリティを生みだすものである。また常にフレッシュな気持ち(初心忘るべからず)をもちつづけることが、経営にあっても、教育の場にあっても大切な事である。
(慎三)