2012年10月5日金曜日

調達物流で輸送システム化


昭和62年(1987年) 10月5日 月曜日


 鳴り物入りの「秋の全国交通安全運動」も終った。全国の運転免許所有者五千五百万人、自動車保有台数五千万台、本格的車社会である。
 従来の取締りや、安全施設の整備、運転技術の向上などだけでは交通事故は減らない。

「まあええ」は「迷惑」でっせその駐車
 大阪市内の瞬間駐車台数は二十一万台、府下全域での年間駐車違反件数二十七万台である。経済活動の拡大とともに、当然、物の動きは活発になる。やたらと荷物、人を乗せ、トラック、乗用車、単車が街中を走り廻る。いきおい駐車違反が増加し、狭い道路をより不便にしている。一台が違法駐車すれば、「赤信号みんなで渡ればこわくない」式の車の続出で、手のつけようがない。
 そこで、「違法路上駐車を追放しよう」と立ち上がったのが、東区松屋町周辺の九町会で、地区内の全車両にコード表示したステッカーを貼付するというユニークなもの。各町会担当者が車両台帳をもち、違法駐車を見つけ次第報告する。他地域からの進入車も同様巡回警告する自主的な地区内の駐車管理を行うもの。大阪は安全マインドが不足、交通マナーが低い、といわれる中にあって新手の防衛策といえる。

四兆円の損失
 都心をはじめ、日本の道路は色々な障害があって車がスムーズに走れない。
 自動車の全国平均時速は時速三十六キロで年間総走行時間は百四十億時間。一台、一時間当りで人件費など三千円の費用がかかるとして、年間総費用は四十二兆円に達すると試算されている。平均走行速度が四十キロにアップすると、総走行時間が一割減るため、年間四兆円の費用が浮くという。新関西国際空港四つ分のお金に相当する。
 安全、安心、快適の三側面から道路の質を検討し、バイパス、立体交差化、道路照明、駐車場の整備などにより、渋滞が解消すれば、大きな経済インパクトがあるのである。

調達物流の総合メリット
 「五・十払い」の集金用車両。問屋街の配送車など問題は多いが、向上でも納入資材、製品出荷の^車両でごった返ししている。その中にあって、各協力工場から、それぞれのトラックでの納入形態をやめ、定時定量を一台の車が巡回集荷し、直接工場にコンベアの端末に納入する「調達物流」を考えついた。摂津市のタイヨー運輸はさらに拡大して、顧客のニーズに合わせ、配送センターで、部品の組立(ユニット化)などで総合的付加価値を高めている。この様に多品種小ロットの各協力工場からの納入車の無駄が省け、得意先は業者の車で混雑することなく、相方共トータルコストを下げることが出来たのである。
 輸送が単に物の場所を移すことから、物流による価値の創造を目ざすと共に、地域エゴ、ドライバーエゴ、会社エゴを捨てさり、輸送をシステムとして考え、「機能の衣がえ」をしてゆく必要があるのではなかろうか。
北浦慎三

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