1983年(昭和58年) 9月26日(月曜日)
厳しい残暑も終わり、やっと秋らしい気候になって来た。すこし旧聞に属するが、ある工場長がやって来て、「数日前から夜勤者が働いているにもかかわらず、泥棒が入り、ロッカーを荒らされた。昨夜仕かけをして、やっと泥棒を取りおさえた」との報告であった。
同日夕刊の社会面トップ記事に"ロボット会社のロボットが泥棒をつかまえた"と大げさに報道された。これは被害にあった工場のリーダーが、何とか工夫をこらしてつかまえようと、自宅から持ち込んだ道具立てで、回路を組み、見事逮捕ということになった。
当人は直接ロボット製作にたずさわっていた訳ではないが、常に創意工夫に留意し、今回の執念の細工で、泥棒逮捕のヒーローとなったのである。
我社では数年前から「社内ギネスブック」を設けている。たわいもないことだが、社員のコミュニケーションと楽しい建設的競争心を盛り上げようと、試みに始めたのである。カレーの早食い、大声、背筋力、背走、シリンダーの早組みから、スマイルNo1(美人No1ではない)に至るまで、仕事に関係のないものも含め、大いに受けている。
運動会シーズン、体力と技を競うのもよいが、カラオケ、司会のうまい者、キャンプ指導のベテラン、祭太鼓を打てばピカ一、落語が出来る、写真、セールス競争、改善提案No1、とたくさんある。それぞれの特性、努力を皆に知らせる、まさに「叱責より賞揚」の効用が如実に立証されるものである。
また、それらの特技、趣味を社内文化体育活動で大いに生かすもの、仕事に直接反映するもの、「彼にそんな隠し芸が……」と上司から見直されるもの、ヒーローもまた色々である。
もちろん、「スーパーヒーロー」は社長であるが、このような各部門、各分野の「ミニヒーロー」がどんどん出現してはどうか。ギスギスした仕事の中だからこそ、豊かなたのもしいヒーローを待ち望むものである。
(慎三)
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