2011年9月20日火曜日

温かい心と英知が、より必要な時

1982年(昭和57年)12月13日(月曜日)

 ボーナスが出た。お歳暮のシーズン。歳末商戦たけなわである。江戸時代に商家の間に年二回の決算期である盆と節季(大晦日-おおみそか)に贈り物をする商習慣が生まれ、後に武家社会へと普遍化したという。お歳暮は、一年間の総決算として、お世話になった人や、仲人、親類、縁者、親友などに親愛の情と感謝のしるしとして贈られてきた。時代、生活形式、つき合いの方法が変っても、実生活に定着している。贈答習慣は結婚とともに始まり、高年齢になるほど、そのつき合いの広さとともに増加傾向にあるというが、平均七・八件とのこと。

 しかし贈り物とともに形がい化し、虚礼廃止を叫ばれながらお正月の年賀状は国民感情としても、商習慣としてもコミュニケーションに大いに役立つものである。個人的には年齢の五倍程度の年賀状のやりとりが多いようだ。取引先へ出す賀状には単調な祝詞に加え写真、図案、色を効果的に活用し、印刷だけでなく担当者も一筆書き添えるなど創意工夫がほしいものだ。

 管理職に次のことを質問してみた。部下の出身校、誕生日、血液型、部下の家庭訪問、部下を自宅へ呼んだか、など。ほとんどが仕事の忙しさにかまけて十分でなかった。時間外、会社外、仕事外の”三外”こそが部下との太いパイプではなかろうか。

 ミノルタカメラの情報システム部では、管理職3人以外は部員26人全員が、一日中コンピューターのディスプレイとの対話で、ME(マイクロ・エレクトロニクス)化による人間疎外が心配とのことである。

 ME(NC、MC、産業用ロボット、OAなど)化により、単純繰り返しの非人間的ダーティーワーク(危険、非衛生、過酷作業)から解放された。しかし一方でME化に追い越され、MEジレンマ(矛盾)におちいり、ME化時代への再教育、配転にも適応性を示さない「ME落ちこぼれ族」が問題児となる。技術革新時代を温かい心と英知で切り開いてゆかねばならない時代が来たのである。
(慎三)

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