2011年11月9日水曜日

機械時代こそ人間固有の能力高めよ

1983年(昭和58年) 2月28日(月曜日)

厳しい寒さがこのところ続いたが、もう目の前に春がやって来た。「ロボットが刻む愛の言葉」とはやされた我が社のロボットも、今年はキャラクター・チョコレートの製造に活躍して、バレンタインデーには大いに注目を浴びた。

「感字世代 テレビ 漫画に育てられ」と時事川柳にあるように、青少年(10-24歳)の64%が「漫才やギャグ、コント番組の真似をした」ことがあり、53%が「アイドル歌手のまねをした」ことがあると答えた。また、ドラえもんやアラレちゃんなどの「キャラクター商品を買った」ことがあるものは38%もあり、テレビの影響力にびっくりする次第である。

消費者のニーズの多様化んい合わせた多様生産時代(FMS)を反映して、個性豊かなキャラクター商品の洪水である。まさにフィーリング世代には、じっくりと感性をとぎすましている時間的余裕はないのかも知れない。

「民放のコマーシャル トイレの時間あり」とよまれているように、15分ごとのコマーシャルが、テレビ番組に投入している時の息抜きであり、用をたすクォータータイムなのである。関学の置塩就職部長が「このごろの大学生は持続力がなく、15分か20分でソワソワ、モジモジする。これはテレビっ子の典型だ…」と言っておられる。今さらテレビの功罪を論ずるつもりはないが、「集中力の欠如と、行動が受身になる」ことはたしかのようである。

成熟化した管理社会の中にあって、新システム、巨大システムが次々に導入されてくる。ロボット、コンピューターが人間領域の仕事を素早く、的確に処理してゆく。その中にあって、人間のみに固有な能力がかえってコンピューターレベルに引き下げられ、退化するおそれさえある。そこで創造性、多様性、総合化、連想、要約、抽象化など人間固有の精神能力を高めるために、受動的、定型的セットメニューを排し、今こそ複雑な問題処理能力を充実させるべきである。

(慎三)

2011年9月20日火曜日

経済鎖国を脱し、国際人脈づくりを

1983年(昭和58年) 1月31日(月曜日)

日本の真冬、大寒にアセアンをはじめとする中小企業サミットと国際貿易投資コンベンションがはじめて大阪で開催された。投資セミナー、工場視察ツアー、業績別懇談会、個別商談会など新しいビジネスのチャンス、パートナーを求めて意義深いものであった。工場視察ツアーの中、9カ国、33人がロボット生産工場の見学に来社された。ロボットが「WELCOME」と筆で書いて歓迎し、その色紙を全員に持ち帰っていただき、大変喜んでもらった。

 席上「日本の中小企業経営の特長」をスピーチした。欧米のレイオフ(一時解雇)制度に対して安定雇用制(終身雇用制ではない)、実力主義を加味した年功序列制、職場別労組に対して企業別労組など十数項目にわたってその特質にふれた。中でもボトムアップによる人間関係管理を中心とする参画、合意によるチームワーク重視の集団主義、すなわち「おみこし経営」については、理解してもらうのに相当時間を要した。

 一方、サミットの討議の中に、マレーシアは「日本産業の高度化に伴い、付加価値が低くなった技術をどんどん移転してほしい」と要請、スリランカは「第三世界は先進国の中古機械の捨て場ではない」とも述べた。自国の工業基盤と技術蓄積、技術レベルに見合った技術移転が望まれているのではないか。

 国際版「異業種交流プラザ」ともいえる「国際中小企業情報センター」や「中小企業大学校海外研修コース」の設立など、単なるお祭り騒ぎから中小企業を活性化させる複合的な施策が必要な時である。

 サミット参加国はそれぞれ国情、特性があろうが、中小企業レベルでの新しい国際交流、国際協力によって、貿易摩擦のさなか「鎖国、繁栄の弧島、国際音痴」などの悪口を一掃し、真の国際社会への一員として心を通わせ、国際人脈作りに努力すべきである。

(慎三)

温かい心と英知が、より必要な時

1982年(昭和57年)12月13日(月曜日)

 ボーナスが出た。お歳暮のシーズン。歳末商戦たけなわである。江戸時代に商家の間に年二回の決算期である盆と節季(大晦日-おおみそか)に贈り物をする商習慣が生まれ、後に武家社会へと普遍化したという。お歳暮は、一年間の総決算として、お世話になった人や、仲人、親類、縁者、親友などに親愛の情と感謝のしるしとして贈られてきた。時代、生活形式、つき合いの方法が変っても、実生活に定着している。贈答習慣は結婚とともに始まり、高年齢になるほど、そのつき合いの広さとともに増加傾向にあるというが、平均七・八件とのこと。

 しかし贈り物とともに形がい化し、虚礼廃止を叫ばれながらお正月の年賀状は国民感情としても、商習慣としてもコミュニケーションに大いに役立つものである。個人的には年齢の五倍程度の年賀状のやりとりが多いようだ。取引先へ出す賀状には単調な祝詞に加え写真、図案、色を効果的に活用し、印刷だけでなく担当者も一筆書き添えるなど創意工夫がほしいものだ。

 管理職に次のことを質問してみた。部下の出身校、誕生日、血液型、部下の家庭訪問、部下を自宅へ呼んだか、など。ほとんどが仕事の忙しさにかまけて十分でなかった。時間外、会社外、仕事外の”三外”こそが部下との太いパイプではなかろうか。

 ミノルタカメラの情報システム部では、管理職3人以外は部員26人全員が、一日中コンピューターのディスプレイとの対話で、ME(マイクロ・エレクトロニクス)化による人間疎外が心配とのことである。

 ME(NC、MC、産業用ロボット、OAなど)化により、単純繰り返しの非人間的ダーティーワーク(危険、非衛生、過酷作業)から解放された。しかし一方でME化に追い越され、MEジレンマ(矛盾)におちいり、ME化時代への再教育、配転にも適応性を示さない「ME落ちこぼれ族」が問題児となる。技術革新時代を温かい心と英知で切り開いてゆかねばならない時代が来たのである。
(慎三)