2012年8月9日木曜日

活力生む根源は人の組み合わせ

1983年(昭和58年) 8月29日 (月曜日)

先月、第七番目の工場が奈良にできた。薬師寺に近い環境抜群、交通至便の地である。現地の別法人であり、旧来からの社員と、本社から移籍したものとは経歴、育ち、技量、年齢や、それぞれ集団の理念、仕事の手順など異なるものである。幸い旧社員、移籍社員の間に何のトラブルもなくスムーズに新しいチームワークが出来たのはあり難いことである。

三年計画で社内にブラスバンドを育てようと思いつき、今年その第一陣が、吹奏楽日本一となった淀川高校から入社した。お盆の「社内納涼大会」、ビア・パーティーの時に、たった五人の小編成ながら演奏会を開いた。トランペット、トロンボーン、フルート、ホルン、ユーホニウムと、息の合った、金管楽器のみのクィンテット(五重奏)のハーモニーの美しさに酔った。

人それぞれの持ち味、能力をうまく合わせ、組織化するには、その感情や意思を大切にしなければならない。くせ、短所は裏返せば長所と言えるのである。組織活力を生み出す根源は人間同士の組み合わせであり、その組み合わせは性格、学歴、年齢、文科系、理科系、はては血液型にいたるまで、その多様さがやる気と共に妙味を発揮するので有る。

なかんずく上に立つものが、万事に「気くばり」をして、部下の心をつかむことである。うまく行かない時は、責任転嫁したり、環境のせいにせず、自らの人格、ネットワーク力、影響力の不足と自戒すべきである。

法隆寺の棟梁であり、最近薬師寺の金堂、西塔、東塔を建立した西岡常一氏からお聞きした「法隆寺大工に伝わる口伝」に

 搭組みは 木組み
 木組みは きのくせ組み
 木のくせ組みは 人の心組み
 人の心組みは 棟梁の工人への思いやり
 工人の非を責めず、己の不徳を思え

というのがある、課内、部門内、会社の活性化のため、もう一度心くばりをしてみたいものである。

(慎三)

参考

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