1983年(昭和58年) 5月23日 (月曜日)
「五月病」、「出社拒否」。そこにはイメージと違った企業の実態、複雑な人間関係などの加部にぶち当たり、たちまち逃げを打つ新入社員の甘えが見える。今まで月謝を払って自由に授業を受けた大学と、厳しい仕事の対価として月給を受け取る拘束社会とのギャップである。
しかし集団社会における適応を早め、組織内規律の重要性を認識し、体得させるため、すでに十七年間「新入社員の野外活動による合宿訓練」を実施している。指導力、協調性、積極性、創造性の養成は企業の基本目的であるが、組織において各人が自由に創造し、個性を発揮するにはルールが必要である。ルールなしに自由奔放にやれば、当人は悦にいっても、まわりは迷惑である。ここに規律が必要である。
動物学者シートンはそのインディアン研究の中に「人の話に割り込むな。人と人の間に割り込むな……」などの「インディアンの掟(おきて)」をあげている。今昔、洋の東西を問わず、掟、エチケット、ルール、規律は必要である。
キャンプファイア。燃えさかる炎とともに、創造性あふれるスタンツ(寸劇)、ゲーム、ソングと、各班の集団のパワーが爆発する。忘れえない感動のひと時である。この能力の引き出し役がカウンセラーである。一年から四、五年ぐらいの先輩でしかない彼らが「同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食い、同じ目的を語り合う」三同主義、体験学習のリーダーなのである。「教えることは学ぶことである」の意を体得してもらうことが出来る。
仕事は男にとって人生そのものであるといっても過言ではない。幾多の難関を突破して入った、あこがれの会社である。
「学校を選んでも担任の先生は選べず」「会社を選んでも職場の上司は選べず」である。しかし少なくとも「下手な上司は一生の不作」と言われぬよう、心したいものである。
(慎三)
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