1983年(昭和58年) 10月24日(月曜日)
秋の深まりと共に、国際デザインフェスティバル、フォーラム・イン大阪、テクノオオサカ、などのエベントで"大阪築城400年まつり"は、いま最高潮である。
先日リコーの浜田社長にお会いし、こんなお話をお聞きした。「あるお客さまから"リコーもにもゼロックスがあったのですか"と言われてがっかりしましたよ……」と言うことであった。リコピーが湿式コピーの代表で、ゼロックスが乾式コピーの代名詞になってしまっているのである
。
元来商標として登録され、それが全く一般名詞のように身近に使われているものに、セロテープ、サランラップ、サークライン、キャラバンシューズ、ニクロム、テープコーダー、デコラ、ホッチキス、プラモデル、ポラロイド、ボンド、シャープペンシル、マジックインキ、バーバリー、アスピリン、メンソレータム、ヒロポン、コークからカップヌードルまで実にたくさんある。もし商標のアクアラングを「水中呼吸装置」と言い直したり、タッパーウェアを「食品保存用ポリエチレン製容器」などと書くと、全く違ったニュアンスに感じるほど、愛着を覚えているものである。
会社には、経営理念、企業行動についでこれらの顔とも言える企業表情があるはずだ。消費者やユーザーに知られ、可愛がられ、覚えられる商品名や会社名が浸透し、それが根回し力となり、企業の主体性を培ってゆくのである。
さらのその影響力が、その地に大きく根づくにつれ、日立市、豊田市、キヤノン通り、東洋大橋(広島)など、市や町や通りに顔をのぞかせる。まさに「企業城下町」なのである。単に良いものを安くつくることから、よく知ってもらい、共感を得て、買ってもらう時代になっている。「殿様商売」から「共感販売」の時代へと大きく変化をとげているこの時に、今一度自社の存在理由を問う必要があるのではなかろうか。
(慎三)
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