1982年(昭和57年)6月21日(月曜日)
時移っても不変の真理「凡事徹底」
今月は最も身近な人の本が二冊出版された。一冊はこのほど一周忌を迎えたわが社の創業者の遺訓集で、北浦冨太郎語録「なにくそ人生」(近代経営社刊行、八百五十円)である。いつも直接アドバイスを受けていた時にはさほど有り難さも感じなかった事柄が、没後書物となり三十九項目の人づくり、物づくりの語りかけとなって、それを読み返してみて、新たな感懐を覚える。
一説に「間違いのない男」『熱意があればこの世の中で出来ないことはない。ナポレオンではないが不可能ということはあり得ない。通り一遍で巧く行かないと結論を出す人間は人生の敗残者になる。三遍やって出来ない場合でも私は妥協しなかった。何回もアタックすると必ず出来る。手をかけて苦労したものだけが本当に身につく。あきらめずに三遍以上チャレンジする男なら何をやらしてもまず間違いはない』とある。
もう一冊は友人のコンサルタント・名倉康修氏の「幹部必勝の戦陣訓」である。企業戦争、商戦の言葉の示すように゛闘争経済時代゛強存強栄゛の時代といえる。その用兵編に
小才は縁あるを知らず、縁を活かさず、中才は縁あるを知って、縁を活かさず、大才は縁あるを知って、縁を活かす。
とある。「えにし」を大切に。取引先は資産だの意がよくわかる。
経営とは「徹頭徹尾」やることから利益が出る。また奇手奇策はない。あたりまえのことを徹底的にやる。つまり「凡事徹底」が基本である。「なにくそ人生」「戦陣訓」は共にいつの世にあっても脈々として変わらない真理を説いている。二人の個性あふれる人生観と、その壮絶なる生きざまに、敬意をはらうと共に、その偉大な語りかけを果敢に、ただ実行してゆくのみである。
(慎三)
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